手書きとアプリで違うのは、手間の場所
この記事では、紙のノートや手帳にペンで書く形を手書き、スマホの家計簿アプリにつける形をアプリと呼びます。手帳の後ろのページや、専用のノートに書く形も、ここでは手書きに入れます。
どちらでも、残す中身は変わりません。いつ、いくら、何に使ったかを、1件ずつ残していく点は同じです。違うのは、その1件を残すまでと、残したあとの手間が、どの場面にかかるかです。片方で軽く済む場面が、もう片方では少し重くなる、という形で、手間の置き場所が入れ替わります。
手間がかかる場面のうち、自分にとって重く感じるものが少ない方を選ぶと、続けやすくなることがあります。どちらが上という話ではなく、暮らしの中で、どこに手をかけやすいかの違いです。同じ人でも、外で払うことが多い時期と、家で過ごすことが多い時期とで、合う方が変わることもあります。
たとえば、外で昼ごはんを買った1件なら、手書きでは家に帰ってからノートに書き、アプリでは店を出たところで残す、という違いになります。残る中身は同じでも、書く時と場所が変わります。この記事で見ていくのは、こうした1件の通り道です。書く欄の作り方や、項目の分け方には立ち入らず、つけてから見返すまでに、どこで手が止まりやすいかだけを並べます。
手書きとアプリを、4つの場面で比べる
1件の記録は、つける・足す・直す・見返すの4つの場面を通ります。場面ごとに、手書きとアプリでどこに手間がかかるかを並べます。4つのどこでも、片方がいつも軽いわけではありません。自分がいちばん手を止めやすいところを、思い浮かべながら読み進めてみてください。
1件をつけるとき
手書きでは、ペンとノートがあれば始められ、書く欄や並べ方を、ページごとに自分で決められます。使った物の名前を短く書き添えておくと、あとで読み返したときに、何の支払いだったかが分かりやすくなります。払ったその場で書くならノートを持ち歩き、そうでなければ、レシートを財布に残しておいて、家に帰ってから書く形になります。
アプリでは、いつも持ち歩くスマホで、払ったその場でつけられます。日付に今日が入っていて、項目は並んだ中から選ぶ、という形が多いので、書く文字は少なく済み、短い待ち時間にも残せます。そのかわり、払うたびにスマホを取り出して、アプリを開くひと手間が入ります。
家に帰ってから、まとめてつけたい人は、手書きでも手間が増えにくくなります。
つける手間そのものを軽くする決めごとは、家計簿が続かない人向けの続けるコツ ― ざっくりつけて挫折しない4つの決めごとで紹介しています。
合計を足すとき
手書きでは、合計は自分で足します。電卓を使っても、足すたびに、書いた数字を1つずつ見返すことになり、ページが進むほど、足す数も増えていきます。その間に、どの項目に多く出ているかが、自然と目に入ることもあります。
アプリでは、1件をつけると、合計は自動で出ます。項目ごとや日ごとの合計も、足す手間なしに並ぶ形が多くあります。数字を見返さずに済むぶん、どこに多く出ているかは、自分から画面を開いて、確かめに行く形になります。
足し算が重く感じるなら、アプリの方が軽く済みやすくなります。
書いたあとで直すとき
手書きでは、額や項目を直すと、消した跡や線が残ります。項目の名前をあとから変えたくなったときは、前のページまで書き直すか、そのまま残すかを選ぶことになります。直した跡が残ることを、記録の一部として見る人もいて、迷った跡をそのまま残しておく使い方もあります。
アプリでは、1件を開いて直せば、合計もそれに合わせて変わります。項目の名前を変えたときも、前の記録まで同じ名前にそろう形が多くあります。そのぶん、どこを直したかが、あとから見て分からないことがあります。
項目を決めきらずに始めたい人は、アプリの方が直しやすくなります。
期間の終わりに見返すとき
手書きでは、ページをめくると、書いた日の字やメモごと見返せます。1か月を見開きで眺められるので、多く出た週や、何も書かなかった日が、まとめて目に入ります。書き添えた一言も、そのページの中で、その日の額と一緒に読めます。
アプリでは、日ごとや項目ごとに並べ替えて見られます。探したい1件を、日付や言葉で見つけやすいのも、この形のよさです。そのかわり、1か月の全部を一度に眺めるには、画面を切り替えながら見ることがあります。
1か月を一度に眺めたい人は、手書きの見開きが合いやすくなります。
見返すときに何を見るかは、家計簿の振り返り方 ― 月末に何を見て、次の月に何を残すかで紹介しています。
合う方は、つける場面で選ぶ
4つの場面のうち、自分にとっていちばん重い場面が軽くなる方を選びます。迷うときの目安を3つ挙げます。
- 払ったその場でつけたいなら、スマホのアプリが向いています。外で払うことが多い日でも、昼ごはんを買ったその場で、1件を残せます。レシートを取っておく手間も、そのぶん減ります。
- 書くこと自体を、1日の区切りにしたいなら、手書きが向いています。夜にノートを開いて、その日の分まで書いたところで、1日がひと区切りつくと感じる人もいます。書く時刻が決まっていれば、書く分がたまる前に、その日のうちに片づきやすくなります。
- 決めきれないときは、1つの期間だけ片方で試してから、期間の始まりで見直します。途中で移ると、同じ期間の合計が2か所に分かれます。区切りで移れば、それまでの分は、そのまま残せます。新しい方の記録も、最初の日からそろって並びます。
一度選んだ方も、あとから変えられます。続かなかった方があっても、その形が合わなかっただけで、もう片方で始め直せます。合う方を見つけるまでに何度か行き来しても、それまでの記録が無駄になるわけではありません。
両方を使うなら、毎日の記録は1か所に
手書きとアプリの併用もできます。そのときは、同じ1件を両方に書かないようにします。
同じ1件を2か所に書くと、つける手間が2倍になります。2つの合計が少しずつずれて、どちらが合っているかを、確かめる手間が出てくることもあります。毎日の記録は1か所に決めて、もう一方には別の役目を持たせます。
- 毎日の記録はアプリにつけ、期間の終わりの一言だけをノートに書きます。数字はアプリに任せ、次の期間に気をつけたいことだけを、手で書いて残しておく形です。
- 毎日の記録はノートに書き、毎月決まって出ていく支出だけを、別の所に並べておきます。毎回同じように出ていく分を、ノートに何度も書かずに済み、その月に動いた分だけが並びます。
- 毎日の記録はアプリにつけ、期間ごとの合計だけをノートに写します。1件ずつは写さずに合計だけを並べると、期間どうしをノートの上で見比べられます。
役目を分けたら、もう一方に書くのは、決めた日だけにします。期間の終わりなど、書く日を先に決めておくと、2つが同じ中身で重なりにくくなります。書く日のほかは、もう一方を開かずに過ごせます。
記録を1か所にまとめておく考え方は、家計簿は何から始めるか ― 初めての人の、最初の1週間の進め方でも紹介しています。
「アルニ」がつける道具で考えていること
アルニの家計簿アプリは、App Store で公開しています。ここで書くのは、この記事の4つの場面について、アプリで用意していることです。
- つけるときは、千・万のキーや足し算ができる自前のテンキーを使い、よく使う記録は「いつもの」から1回押すだけで残せます(無料)。
- 足すときは、1日あたりの目安や今日使った額を、計算せずに見られます(無料)。
- 見返すときは、カレンダー・カテゴリ別・支払い方法別で並べられ、期間の終わりのふり返りカードは PDF で残せます(無料)。
記録はこの iPhone の中に保存し、アカウント登録はありません。手書きのノートと同じように、自分の手元に置いておく形です。
よくある質問
家計簿は、手書きとアプリのどっちが続けやすいですか?
どちらが続けやすいかは、つける場面で変わります。払ったその場でつけたいならアプリ、書くこと自体を1日の区切りにしたいなら手書き、というように、自分にとって重い場面が軽くなる方を選ぶ形があります。
家計簿の手書きとアプリは、併用してもいいですか?
併用できます。同じ1件を両方に書くと手間が2倍になるので、毎日の記録は1か所に決め、もう一方は、期間の終わりの一言や合計を、残す役目にする形があります。
まとめ
要点は3つです。1つ目は、手書きとアプリで残す中身は同じで、違うのは手間がかかる場面だということ。2つ目は、つける・足す・直す・見返すのうち、自分にとって重い場面が軽くなる方を選ぶこと。3つ目は、両方を使うなら、毎日の記録は1か所にして、もう一方には別の役目を持たせることです。合わなければ、期間の始まりで切り替えられます。