家計簿が続かない理由と考え方
家計簿が止まりやすいのは、1回につける手間が、重くなったときです。始めたばかりのころは、つけること自体が新しく、あまり気になりません。日がたつにつれて、1回ごとの重さが、少しずつ目に入るようになります。それが、つける前のためらいに変わると、手が止まりやすくなります。
1円まで合わせる、全部の支出を細かく分ける、毎日欠かさずつける。それぞれ、記録としては正確な形です。ただ、重ねるほど、1回につける手間は増えていきます。1件ずつは小さくても、毎日の分が積もると、大きく感じられます。重く感じる分だけ、つけない日も出やすくなります。軽くしたいときは、記録の形のほうを変えます。
この記事では、記録の正確さより、明日もつけられることを先にします。少しずれた記録でも、続いていれば、あとから見返せます。習慣は、小さく始めるほど、残りやすくなります。習慣化は「小さすぎる目標」からの考え方を、家計簿に当てはめます。これから始める人に向けた進め方は、家計簿は何から始めるか ― 初めての人の、最初の1週間の進め方で紹介しています。
家計簿を続けるコツ ― 4つの決めごと
家計簿を続けるコツを、4つの決めごとにしました。どれも、つけ方をゆるめる方向の決めごとです。
1. 金額は、ざっくりでいい
金額は、端数を丸めて書きます。 レシートの端の数字まで、合わせなくてかまいません。
端数まで合わせようとすると、レシートを探したり、計算し直したりする手間が出ます。手元にレシートがない日は、そこで手が止まることもあります。書く前に迷う時間が、そのまま1回の手間に足されます。
丸めて書いても、何に、どれくらい使ったかの見当は残ります。ざっくりつける家計簿でも、あとで見返したときに、お金の使い方の流れは読み取れます。ざっくりにするのは、金額のほうだけです。何に使ったかは、ひとことでも残しておきます。あとで見返すときの、手がかりになります。
丸めるときは、毎回同じ向きにそろえます。上げる日と下げる日が混ざると、書くたびに、どちらにするかを考えることになります。向きが決まっていれば、レシートの数字を見たところで、書く金額も決まります。レシートをもらい忘れた日も、覚えている金額を丸めて書けば、その1件は残ります。財布の中身と合わなくなったときの扱いは、「つけ忘れが続いても挫折しない戻り方」で触れます。
2. 項目は、少なく始める
分ける項目は少なく始めて、迷った支出は「その他」に入れます。 迷う時間を、つける時間に足さないための決めごとです。
項目が多いと、1件ごとに、どれに入れるかを考える手間が出ます。似た項目が並んでいると、その迷いは、さらに長くなりがちです。家計簿のつけ方を簡単にするなら、まず、分ける数のほうを減らします。項目が少なければ、1件ごとの迷いも、短く済みます。
たとえば、食費・日用品・その他のように、少なく分けます。「その他」に入る支出が増えてきたら、そのときに、項目を1つ足します。始める前から、全部の項目をそろえておく必要はありません。
きれいに分けようとすると、境目で迷う支出が出てきます。食費とも日用品とも言える、どちらつかずの買い物です。そういう支出は、考え込まずに「その他」へ入れます。「その他」は、迷いをいったん置いておく場所として使います。迷った支出を「その他」に入れても、記録としては1件、残ります。どこに入れたかより、つけたことのほうが、次の日につながります。項目を足すときも、1つずつにします。一度にいくつも足すと、どれに入れるかを考える手間が、また戻ってきます。
3. 固定費は、先に並べておく
毎月決まって出ていく固定費は、最初に一度だけ並べておきます。 家賃・通信費・サブスクのような支出です。年に一度の支払いも、同じように並べておきます。
固定費は、月ごとに大きく変わることが少ない支出です。先に並べておけば、出ていくたびに、つけ直す手間がありません。毎日つけるのは、それ以外の支出だけになります。固定費と、それ以外(変動費)を分けておくと、1回につける件数も減ります。
固定費を先に並べておくと、毎日の支出に回せる分が、見えやすくなります。毎日の記録に出てくる数字が減るので、1件ずつの支出も、目で追いやすくなります。並べるのは、金額を変えるためではなく、毎日の記録から外しておくためです。一度並べたら、あとは、そのまま置いておきます。
並べるときも、細かい金額まで調べ直す必要はありません。わかっている分から、思い出した順に書いていきます。並べ忘れた固定費に、あとで気づいたら、その日に1つ足します。年に一度の支払いは、間があくぶん忘れやすいので、思い出したときに書き足しておきます。並べる場所は、1か所にまとめておきます。あちこちに書くと、並べたかどうかを確かめる手間が、あとで出てきます。
4. つける合図を、1つ決める
家計簿をつける合図を、毎日ある行動から1つ選びます。 家に帰って財布を置いたら、その日のレシートの分をつける、という形です。
つけるのを「手が空いたら」にしておくと、手が空かない日には、つける場面が来ません。そういう日が続くと、そのまま止まりやすくなります。毎日ある行動のあとに置けば、つけることを思い出す手間が減ります。
財布を置く行動は、出かけた日なら、たいてい毎回あります。レシートも財布の中にあるので、つけるものが、手元にそろいます。合図にする行動は、すでに毎日していることから選ぶほど、新しく覚えることが少なくて済みます。出かけなかった日は、財布を置く場面そのものが、ないこともあります。支出がなかった日なら、つけるものも、ありません。
合図は、1つに絞ります。合図がいくつもあると、どこでつけるかを、そのたびに考えることになります。合図のあとにつけるのは、その日の分だけです。前の日の分までさかのぼろうとすると、合図のあとの手間が、また重くなります。つけそびれた日の分は、このあとの「つけ忘れが続いても挫折しない戻り方」の形で扱います。
合図の置き方は、習慣化のリマインダー通知の使い方でも触れています。
つけ忘れが続いても挫折しない戻り方
家計簿の挫折は、つけ忘れた日が続いたあとに、起きることがあります。空いた日を全部埋めようとすると、戻るまでの手間が、大きくなりがちです。
- その日のうちに気づいたとき。 覚えている分と、手元のレシートの分だけをつけます。思い出せない分は、探しません。つけられた分だけで、その日の記録は終わりにして、次の日は、決めた合図のあとに、その日の分をつけます。
- 何日か空いたとき。 空いた日を、さかのぼって1件ずつ思い出そうとはしません。財布の中の残りと見比べて、合わない分を「わからない分」として1行にまとめます。次の支出から、いつもどおりつけます。
- 月の途中で止まっていたとき。 月の始まりを待たずに、気づいた日から再開します。止まる前の記録は、消さずに残しておきます。途中から始まった月も、欠けた月としてではなく、記録の続きとして、そのまま並べます。
戻るときに、やり直しは要りません。空いた日があっても、前の記録も、あとの記録も、そのまま使えます。
合わない分が大きくて、どこで食い違ったかを確かめたいときは、家計簿が合わない原因の探し方 ― 差額の向きと大きさで見当をつけるで、見当のつけ方を紹介しています。
戻ったあと、期間の終わりにまとめて見返すときは、家計簿の振り返り方 ― 月末に何を見て、次の月に何を残すかで紹介しています。
習慣全般の戻り方は、習慣が途切れたあとの再開のしかたで紹介しています。
アルニ家計簿アプリで続けやすくする工夫
アルニの家計簿アプリは、App Store で公開しています。ここで書くのは、続けやすさについて、アプリで決めていることです。
- 給料日などから始まる期間ごとに、手取りから固定費と取り分けを先に引き、残りを「余白」として見せています。
- 財布(現金)の残りと合わせる機能は、無料で使えます。記録画面の「⋯」とホームからも開けます。
- よく使う記録は「いつもの」に入れておくと、1タップで記録できます(無料)。
- 記録のお知らせを、好きな時刻に1日1回受け取れます(無料)。しばらく記録があいたときは、ホームで入れ方を案内します。
- 余白を使い切っても、羊は悲しまないし、怒りません。「毛は、次の期間にまた伸びます」と出ます。
つけ方をゆるめても、続けやすい形にしておく、という考え方です。
よくある質問
家計簿が続かないときは、何から変えればいいですか?
金額の端数を丸めて、分ける項目を少なくしてみてください。毎月決まって出ていく固定費は、最初に一度だけ並べておきます。毎日つけるのは、それ以外の支出だけです。つける合図も、1つ決めておきます。
家計簿をつけ忘れた日が続いたら、どうすればいいですか?
空いた日を、1件ずつ思い出そうとしなくてかまいません。財布の中の残りと見比べて、合わない分は「わからない分」として1行にまとめ、次の支出から、いつもどおりつけてください。月の途中でも、気づいた日から再開できます。
まとめ
要点は3つです。1つ目は、家計簿が続かないときは、記録の正確さより、1回につける手間を軽くすること。2つ目は、続けるコツとして、金額はざっくり、項目は少なく、固定費は先に並べ、つける合図を1つ決めること。3つ目は、つけ忘れた日が続いても、合わない分を「わからない分」にまとめて、気づいた日から戻ればよいことです。完璧な記録でなくても、続いた記録は、そのまま使えます。