大人の勉強が続きにくい理由
この記事でいう勉強は、自分で決めて、少しずつ身につけたいことに取り組む時間のことです。テキストを読む、問題を解く、語学の練習をするなど、取り組む中身は人によって違います。ここでは中身には立ち入らず、毎日の中にどう置くかだけを考えます。
若いころの勉強では、時間割や締め切り、教えてくれる人が、始める合図と続ける枠を用意してくれていました。決まった時刻になれば始まり、決まった日までに終える形です。大人の勉強には、その枠がありません。誰かが進み具合を確かめてくれることも、あまりありません。いつ始めて、どこまで進めるかを、毎回自分で決めることになります。しかも、仕事や家のことの合間の、細切れの時間で進めることが多くなります。
枠がないところに、そのころと同じ形を持ちこむと、合わない日が増えていきます。まとまった時間を取る、毎日同じ量を進める、先に計画を立てきる、という形です。合わない日が続くと、勉強は止まりやすくなります。止まったのは、続ける力が足りないからではなく、形が今の暮らしに合っていないことが多いからです。
この記事で外していく思い込みは、どれも、枠があったころには役に立っていた形です。悪い考え方としてではなく、今の暮らしに合わなくなった形として見ていきます。形を合わせ直すと、同じ勉強でも、続けやすくなることがあります。
勉強の習慣を止める4つの思い込み
勉強が止まりやすいときは、次の4つの考え方のどれかが、知らないうちに前提になっていることがあります。1つずつ、置き換える考え方と並べます。
「まとまった時間がないと、進まない」
勉強は、まとまった時間がなくても、短い1回分を重ねることで進められます。まとまった時間を待っていると、それが来ない日は、始まらないまま1日が終わります。大人の1日には、そうした空きが、思っているより少ないことがあります。長く取れた日は、短い1回分を続けて重ねれば、そのまま長く進められます。
短い1回分なら、昼休みの終わりや、帰り道の電車の中にも置けます。帰り道にテキストを開いて、前回の続きを少し読む、という形です。昼休みの終わりに、問題を1問だけ解く形もあります。短い1回は、次に開くときの入り口にもなります。どこまで進んだかが分かっていれば、次の1回を、迷わずに始めやすくなります。
「毎日同じ量でないと、意味がない」
毎日続けるのは同じ量ではなく、勉強に触れることだと考えます。量を毎日そろえようとすると、忙しい日に「今日は足りない」と感じやすくなります。足りないと感じた日は、少しだけやる日ではなく、まったくやらない日に変わりやすくなります。
量が少ない日も、テキストを開いたことは、その日の1回として残ります。多くできる日と少ない日があっても、触れた日が並んでいれば、勉強が毎日の流れの中にある状態を保てます。量は、余裕のある日に増やせば済みます。少ない日の1回も、多い日の1回も、同じ1回として並べておきます。量にこだわらないと決めておくと、忙しい日にも、テキストを開くところまでは進めやすくなります。
忙しい日に、これだけはやると決めておく形は、忙しい日の習慣の続け方 ― 時間がない日の「最低ライン」を決める5つのルールで紹介しています。
「始める前に、計画を立てきる」
計画は、最初の1回分が決まっていれば、始めてから足していけます。全体の計画を立てきろうとすると、立てる時間のほうが、勉強の時間より長くなることがあります。決めた順番どおりに進まない日が来ると、そこで手が止まってしまうこともあります。細かく決めるほど、決めたとおりに進まなかった日に、直す手間も増えます。
最初に決めるのは、どこを開いて、どこまでやるかだけです。進めてみると、思ったより時間がかかるところや、先に見ておきたいところが分かってきます。分かったことから、少しずつ計画に書き足していきます。書き足すときも、先の先までは決めずに、次の何回分かが見える程度にしておきます。
先に全体を見ておきたい人は、テキストの目次を1回だけ眺めておく形もあります。眺めるのは、全体の大きさをつかむためで、順番を細かく決めるためではありません。眺めたあとは、計画を細かく決めずに、最初の1回分に戻ります。
「空いた日の分は、あとで取り戻す」
空いた日の分は取り戻さずに、次の1回から、いつもの1回分で始めます。空いた分を足して取り戻そうとすると、戻る日の1回が重くなります。重い1回が待っていると思うと、戻ること自体を、先に延ばしやすくなります。
空いた日があっても、それまでにやった分は消えません。次の1回は、空く前と同じ大きさで始めます。戻る1回目は、止まったページを開くことから始めます。忙しい日が続いているなら、最低ラインの形で戻ってもかまいません。空いた理由を探すより、次の1回をいつ置くかを先に決めておくと、戻りやすくなります。
しばらく止まっていたあとの戻り方は、習慣が途切れたあとの再開のしかた ― 責めずに戻るための6つの手順で紹介しています。
勉強の1回分を、3つ決めておく
勉強を習慣化するときは、毎回その場で考えずに済むように、1回分を3つの点で先に決めておきます。
- いつやるか。 朝・昼・夜のどれか1つにして、毎日ある行動のあとに置きます。夜なら、歯みがきのあとに、という形です。朝なら、身支度を終えたあとに、という置き方もあります。時間帯だけを決めておくと、始める合図が弱くなりやすいので、毎日すでにしている行動を、きっかけにします。いつもの行動のあとに置く形は、習慣を「くっつける」スタッキングのやり方でも紹介しています。
- 1回に何をやるか。 時間ではなく、どこを開いて、どこまでやるかで決めます。「テキストを1ページ」「問題を1問」のように、終わりの場所で決めておきます。終わりが見えていると、始めるときに迷いにくくなります。終えたところで、その日の1回分を閉じられます。
- 忙しい日の最低ライン。 机に向かえない日に、これだけはやる形を1つ決めます。「テキストを開いて、前回の続きの場所を確かめるだけ」のような形です。最低ラインは、机に向かえる日の1回分より、ずっと小さくしておきます。最低ラインだけの日も、勉強に触れた日として数えます。
3つが決まっていれば、勉強を始める前に考えることは、ほとんど残りません。3つは、紙やメモに1行で書いておくと、毎回思い出さずに済みます。暮らしが変わって合わなくなったときは、3つを一度に変えずに、1つずつ変えていきます。
アルニ習慣化アプリで勉強を続ける
アルニ習慣化アプリは、App Store で公開しています。勉強の習慣に使えることを、公開している機能の範囲で紹介します。
- 習慣には、任意で「種類」を付けられ、「勉強」も選べます。種類ごとの連続日数でも、称号が手に入ります。
- 習慣ごとの「続けるコツ」で、朝・昼・夜のどれにやるかと、きっかけ(例: 歯みがきのあとに)を決めておけます。
- 忙しい日の「最低ライン」も決めておけます。最低ラインだけの日も、それだけで連続は切れません。一度途切れたあとにまた始めた日は、「再開」と表示されます。
- 目標の立て方について相談できるAIコーチは、有料プランの機能です。Appleでサインインすると、AIコーチを7日間無料で試せます(1日3回まで・1つのApple IDにつき1回だけ。購入の手続きは不要で、終わっても料金はかかりません)。
勉強の1回分の3つを、そのままアプリに書き写しておける形です。画面ごとの使い方は、使い方ガイドで紹介しています。
よくある質問
社会人が勉強の習慣をつけるには、何から決めればいいですか?
いつやるか、1回に何をやるか、忙しい日の最低ラインの3つを先に決める形があります。いつやるかは、朝・昼・夜のどれか1つにして、毎日ある行動のあとに置くと、始める合図になりやすくなります。
勉強を毎日続けられなかった日のあとは、どうすればいいですか?
空いた日の分を取り戻そうとせず、次の1回を、いつもの1回分か最低ラインで始めます。空いた日があっても、それまでにやった分は消えません。
まとめ
要点は3つです。1つ目は、まとまった時間・毎日同じ量・先に立てきる計画という、若いころの勉強の形を、大人の勉強にそのまま持ちこまないこと。2つ目は、いつやるか、1回に何をやるか、忙しい日の最低ラインの3つで、1回分を先に決めておくこと。3つ目は、空いた日の分は取り戻さず、次の1回から始めることです。短い1回分でも、重ねた分は残ります。